05192-180711 「成蹊」の名の由来は甘い果実を生む「継続的アウトプット」にあり
https://flic.kr/p/295VeiC https://farm2.staticflickr.com/1803/43375198362_dba651c3c1_k.jpg
「成蹊」の名の由来となった司馬遷「史記」より「李廣伝賛」の一節。 諺曰、桃李不言、下自成蹊、此言雖小、可以諭大
shio.iconはその意義を、「“桃や李(すもも)のように芳しく味わい深い果実(成果物)を生み出し続けましょう、きっと行列ができますよ”、そんな諺のごとく、継続的アウトプット(創作的表現活動)が大切です」と理解しております。著作権法の理念と共通です。
https://flic.kr/p/295VeoY https://farm1.staticflickr.com/839/43375198672_4a6820274f_k.jpg
この一文、一般には「桃や李(すもも)はものを言わないけれど、その下には自ずから道ができるほど人々が集まってくる、ということわざは小さいけれどもその意義は大きい」という意味であり、その中のことわざ「桃李不言、下自成蹊」は「人徳のある人のもとには黙っていても人が集まってくる」と解釈されています。
確かに寡黙で人徳のある李廣将軍の死にさいして引用された文脈においては、このことわざをそう解するのが筋でしょう。
https://flic.kr/p/27Mc3Qv https://farm1.staticflickr.com/835/42518231245_8247e4b0fb_k.jpg
ではどうして李廣将軍は「人徳のある人」なのか。その背景を考えてみましょう。
砂漠の中で泉を見つけると部下に先に飲ませる。
食料は部下が先に食べてから自分が食べる。
軍の規律を少なくして行軍の隊列も緩く組む。
兵士たちの休息には自由にさせる。
文書をできるだけ減らして官吏の手間を削減する。
このように部下、兵士たちを大切にし、その思いやりを具体的な形にしたからこそ、李廣将軍は人々から慕われたのです。彼が60歳を過ぎて自刎(じふん・自分の首を切って死ぬこと)したと聞いた多くの人々が、その死を悼んで泣き集いました。
https://flic.kr/p/295Vew3 https://farm1.staticflickr.com/840/43375199082_7db88a2c2b_k.jpg
寡黙な「人徳のある人」の訃報に接し人が集まる。そこに着目すれば、“桃李はものを言わなくても自ずから人が集まる”ということわざが「人徳のある人」のたとえ、として妥当します。しかし大切なのは「人徳のある人」がどうして人徳を得たのか。その過程にこそ含意があるはずです。李廣将軍は上記のように、人々に対する思いやりを形にしてきました。
https://flic.kr/p/27MbZDR https://farm2.staticflickr.com/1762/42518220535_dc6e2e30e2_k.jpg
そもそも学校教育の課程に通っている児童、生徒、学生は大変若い。通常「人徳のある人」ではありません。学習者の研鑽の場である学校が「成蹊」を冠するなら、「人徳のある人」という結果ではなく、李廣将軍が人徳を得たその過程にこそ教育上の意義があるはず。李廣将軍がその場その場で人々に対する「思いやりを形にする」行いにこそ、学ぶべきでしょう。桃李のような形のある果実を人々に与え続けたのです。
https://flic.kr/p/295VfKL https://farm1.staticflickr.com/844/43375203242_3ce08c7f7a_k.jpg
そこで現代の(少なくとも)学校においては、“(桃や李のように甘く芳しい)果実を生むからこそ人が集まる。だから果実を生み続けよ”というのがこのことわざの本質だとshio.iconは考えます。そしてそれは著作権法の本質と符合します。
成蹊学園の生まれは1912年創立の「成蹊実務学校」です。「実務」学校。実を生む仕事の学校なのです。また建学の理念である「個性の尊重」、「品性の陶冶」、「勤労の実践」のうち、「勤労の実践」とは果実を生む作業を地道に続けることに他なりません。
「成蹊」の名の由来。「継続的アウトプット(創作的表現活動)」の大切さを説くものだと考えます。だからこそshioゼミでは、実際に手を動かして起案(文書作成)する訓練を続けています。法学部の学生が4年間かけて身につけるべき究極のスキルは、法的三段論法に基づく法的思考力と文章表現力、つまり起案力。文章という「果実」を継続的に生み続ける起案スキルを身につける学校、それが「成蹊」のshioゼミです。
〈写真は吉祥寺「葡萄屋」にて成蹊大学法学部教員で会食をした際のお料理をリコーGR IIで撮影したものです〉 https://flic.kr/p/295VeEu https://farm2.staticflickr.com/1769/43375199572_61a62ee465_k.jpg